去年の今日
今日は特色選抜で生徒休業。
思い出す一年前。
握りしめる受験票。
整えられた身だしなみ。
みんなが向かうのは中学。
私が向かうのは第一志望校。
多くの生徒が受ける一般入試。
その1ヶ月前に行われる特色選抜。
3年間目指してきた特色合格。
積み上げてきた努力。
引き受けてきた肩書き。
絶対合格という強い意志。
感じる余裕さえない焦り。
大きくつく深呼吸。
緊張とはお別れ。
お題に沿って書かされる小論文。
塾の指示に当てはめる定型文。
その中でも少し現す自分の個性。
本番もきちんと練習通り。
圧力を感じる3対1の面接。
でも大にしたことのない質問。
完璧に覚えた記憶。
はっきりと話し常に笑顔。
捨て問はしっかりわかりません。
私が目指した県立トップ女子校。
去年は例年より高い倍率。
みんなと同じでは不合格。
私が演じる、必要な人材。
現代の少子高齢化。
子供の育成に適した環境作り。
その一部を目指す主人公。
ここまで完璧に作り上げた私。
合格するという確固たる自信。
そういうものが本当に必要。
来て欲しくない2年後。
脅威である大学入試。
うまくいくとは限らない今回。
また積み上げよう努力。
それだけが私にできる事。
合格枇杷にゲン担ぎ
本
いつもなら通り過ぎる景色。
でも今日は気づいた変化。
思わず手に取る本。
特に有名でもない著者。
でも心に響く題名。
「明日晴れたら死のう」
みんなならきっと苦笑い。
でも私には重い言葉。
ふと開いてみたページ。
どんどん読み進めたくなる力。
私とかけ離れた主人公。
でも私の気持ちとの共鳴。
心に刺さる深い表現。
本との出会いは一期一会。
その本が変える私の人生。
それが本の面白さ。
テストという地獄
カバーガラスのような私の心
安易な考えで決められたパート。
マレットの綿の取れ具合。
全体が見渡せる音楽室の角。
遠くで棒を振っている顧問。
何度怒られてもわからない状況。
やっと間違いに気づく全奏。
修正したくても動かない手。
焦りと不安で真っ白になる頭。
気づくと溢れていく涙。
余計に荒れる呼吸。
どんどん大きくなる先生の声。
小刻みに震える足。
ティンパニに映る自分の姿。
早く過ぎてほしい時間
部活に入ったことへの後悔。
心の奥にある過去の辛い経験。
忘れられなかった嫌な記憶。
それと全く同じような現状。
繰り返された運命に感じる悪意。
友達だと錯覚していた人々。
辛い時はいつもひとりぼっち。
誰にも相談できない悩み。
逃げ場のない日常生活。
二度と来て欲しくない朝。
それでも残酷に続く日々。
そしてまた今日を生きる自分。